印西市議会議員 ますだようこ(増田葉子)議員になったいきさつ - 印西市議会議員 ますだようこ(増田葉子)

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議員になったいきさつ - 印西市議会議員 ますだようこ(増田葉子)

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きっかけは「布団乾燥」

私が市政・議会に関心をもったのは、平成12年、娘の通っていた保育園の保護者会役員をお引き受けしたのがきっかけでした。その年、それまで月に一回公費で実施されていた、お昼寝布団の業者による乾燥・消毒が隔月に削減されることになったのです。市からは、「これまでサービスでやってきたが、本来布団は個人の持ち物なので、これからは半分を保護者で負担してください」という趣旨のプリントが配られました。

削減された部分をどう補っていくか、役員として協議していたとき、ふと思いました。「行政って、よくこういう手を使って、段階的に削減していくよな」と。
さっそく担当課に電話し、「隔月はいつまでですか?」と聞くと「来年度は全面的に廃止です」との答え。「ああ、やっぱり」でした。
「たかが布団乾燥されど布団乾燥」とある保護者は言いました。布団乾燥が削減されると、保護者は週末には天日干しのために布団を持ち帰らなければならず、きょうだいで通園している人や自転車、徒歩で通園している人にはたいへんな負担です。
しかも、調査してみると、船橋市、市川市などは、布団は園の備品で無料の貸与品でした。管理はもちろん園の役目です。この違いはいったい何なんだ――
印西市の遅れた子育てサービスを実感した瞬間でした。
ちょうど同じころ、『印西市子どもプラン』なるものが策定され、ダイジェスト版が全戸配布されました。そこには「保育環境を整えます」「子育て家庭の支援を行います」と美しい言葉がキレイに印刷されていました。「言葉ばっかりで現実はこれかい!!」と怒りがこみあげました。

布団乾燥廃止の撤回を求めて市議会に陳情

内心怒っていても事態は変わりません。怒りを共有してくれた保護者と「布団乾燥廃止の撤回を求める要望書」を700名の署名とともに印西市議会に提出しました。
その頃の私は、議会がどんな人たちで構成されているのか、どんな雰囲気であるのか、まったくの無知でした。「敵」は「行政当局」であり、市民の代表である「市議会」は当然「身方」であるはずだと思っていました。「市は自らつくったプラン通りにやってほしい」――こんな筋の通った主張が通らないわけはないと思っていました。
議会というところが、単なるパワーゲームの場であり、まっとうな理屈もそうそう簡単に通るところではないと、それから徐々に思い知っていくことになるわけです。
これも後で知ったことですが、議員の紹介のない要望(陳情)は印西市議会は議論しないのだそうです。市民の切実な要望がこもっているという点では、請願(議員紹介のあるもの)も陳情も同じだろうに。
布団乾燥の要望も「こんな要望書が出ていますよ」と議員に回覧されて終わり、のはずでした。しかし、多数の署名がついていたことで、請願扱いとして異例に審議されることになったのです。

予算の執行は誰が見張るの?

審議が始まるとびっくり。なんと布団乾燥費は当初予算にきちんと毎月分計上されていました。予算はあるのに担当課が勝手に削減してしまったというお粗末な事実が明るみに出たのです。その点を委員会で追及された市当局は、あっさりと廃止案を撤回。「計上されている予算は別の形で園児に還元する」ということになりました。娘の通う保育園の場合、削減されてからは保護者が実費を負担し業者に依頼していたので、そのお金がそっくり返金されることになりました。
「お金も返ってきたし、結果良ければすべて良し」。ついそういう気分になってしまうところですが、私の中には議会に対する疑問がいくつか残りました。

①陳情は議会で審議されないのはなぜか。
②予算の執行に誰が責任をもつのか。
③そもそも布団の管理は誰がするのか。「行政サービスのあり方」という根本的な問題を議会は議論してくれていない

などなど。陳情を出す体験をしなければ分からなかったことです。

本会議で陳情の採択に反対した議員がいたということも、私にとっては「謎」でした。市当局が廃止案を撤回しているのに、反対の理由がどこにがあるのでしょう?不可解としか言いようがありません。

お次は保育料の値上げ

役員として保護者への返金事務に追われていたとき、次なる試練がやってきました。今度は保育料の大幅引き上げです。高い高いと思っていた保育料がさらに引き上げられ、三歳未満児を預ける親は、ほんとうに「ぎゃ―」と悲鳴を上げたくなる金額になりました。調べてみると、県内の都市部では異常ともいえる金額。「家賃より高い」「給料のほとんどが保育料に消える」という声のほかに、「布団乾燥で市にたてつくから仕返しされたのよ」という声も耳に入ってきました。
「お上の力」を見せつけられた結果だというなら、受けて立とうではないか。売られた喧嘩は買わなくては失礼だ。

保育料徴収の条例化を請願

その後、保育料の仕組みについて猛勉強し、実は料金改定の手続きに議会の議決が必要ないことに気づきました。
保育料の額は条例でなく規則で決められており、市長、つまりは担当課が勝手に改定できます。最終決裁者の市長も市民の信託を受けているから民主的だとは言えますが、改定額が妥当なものであるか、市の掲げる施策と矛盾しないか議論されることはありません。
しかし、保育料額が条例で定められていれば、改定には議会審議を要することになります。担当課と市長だけでなく、議案として多くの人の目を経ることになります。改定までのハードルが確実に高くなるので、これ以上の引き上げを牽制することができると考えたのです。そこで、保育料を条例化してほしいという主旨の請願をしました。
「行政がまた変なことをしているから議会で見張るシステムをつくってください」という意味のこめられたものです。平たく言えば議会の権限を強化するものなので、当然、議会は見方についてくれるものと思いました。
ところが、その主張がすっと通らないのです。

なんのための議会?

行政のチェックは議員の大きな仕事です。「その大事な仕事をきちんとやってください」という願いを退けることは、『仕事はできるだけしたくない』と言っているようなものです。
でも、そういう議員が多かった。「こういう請願は通らないから取り下げてはどうか」と電話してきたりしました。
結果的には、議員としての筋を通してくれた方々のおかげで採択され、担当課も「印西市の保育料はほんとうに高いんだ」という認識をもってくれたようで、保育料は一年でまたまた改定されることになり、引き上げ前よりも良い内容になりました。しかし、ほんとうに市民のことを考えてくれる議会がほしいと心から思いました。

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