議案1号 空家等の適切な管理に関する条例の制定
人口減少と高齢化によって、管理がされていない空家の増加が全国的に社会問題になっている。平成27年5月に「空家等対策特別措置法」施行されたところだが、特措法では対応しきれない緊急案件のために新規条例として制定した。
印西市では、特措法の施行後の平成29年度に空家の実態調査を行い、令和元年度末までに、「空家等対策計画」を策定することになっている。実態調査では、管理が不適切な空家は市内に389件あると把握されている。そのうち、特措法の「特定空家」に該当する物件は今のところないが、台風などの自然災害によって対応が必要となった際に条例で定めておく必要がある。ちなみに、389件のうち所有者が所在不明あるいは対応不能などの物件は13件あり、今後、特措法での対応となるか判定作業に入ることになる。
議案2号 名誉市民条例の一部改正
地方公務員法の一部改正で、成年被後見人、被保佐人の欠格条項(被後見人、被保佐人は公務員になれないという規定があった)が削除され、順次条例に反映されている。前議会では、条文として規定されていた消防団設置条例などが一部改正され、今議会では、引用条項が整理される形での一部改正となっている。
議案3号 職員の勤務時間、休暇に関する条例の一部改正
令和3年から施行される育児・介護休業法で、子どもの看護休暇・介護休暇が、非正規も含めすべての勤務者が一時間単位で取得できるようになる。地方公務員の非正規職員についても法の趣旨が反映されていくものと思われる。今回の改正は、会計年度任用職員制度の導入に向けて、臨時職員(常勤で半年間の任用)の休暇は任命権者が「調整」し、会計年度任用職員は「職務の性質を考慮して規則で定める」とされた。
議案4号 職員の旅費条例の一部改正
議案2号と同じく、欠格条項の引用条項が条文にあり、整理、改正された。
議案5号 特定教育・保育施設、地域型保育事業の運営に関する基準条例の一部改正
幼児教育・保育の無償化に伴う内閣府令の改正に準拠した条例改正と思われる。これまで「支給認定保護者・子ども」という用語が、「教育・保育給付認定保護者・子ども」にすべて訂正されるなど、内容はいざ知らず、わざと複雑にしているのでは?と思う。この基準条例は内閣府所管の子ども子育て支援法に準拠したものだが、厚労省所管の児童福祉法に準拠した条例もあり、重複した内容もある。同じ施設のことを、子ども子育て支援法は「特定地域型保育」と呼び、児童福祉法では「家庭的保育」と呼ぶ。子ども子育て支援法では、主に教育保育サービスの給付について、児童福祉法では保育の最低基準などのサービスの質に関する規定がそれぞれされているのだが、それにしてももう少しすっきりさせてくれないと、追いかけていく者はため息がでる。
議案6号 国民健康保険税条例の一部改正
国民健康保険の基礎課税額の上限を58万円から61万円に引き上げるもの。この引き上げが適用されるのは29世帯で、約570万円の税収増になると推定される。国民健康保険の財政運営は、平成30年度から都道府県に統合されたが、負担増に耐えられそうと思われるところに負担を求めていく姿勢はあい変わらず。国の社会保障審議会ではさらなる負担増をすでに議決しているとのこと。高い保険料が払えない→滞納すると保険証がもらえない→医療を受けるときは全額自費負担→払えないので生活保護という人がどのくらいいるのか、数字でなく実態をみて市としての運営判断をしていく必要があると考える。
議案7号 一般会計補正予算(第4号)
4億7,453万円の増額補正だが、歳出で目立ったのは、子ども人口の増加による児童扶養手当、子ども医療費助成、教材整備に関する費用など、あわせて8千万円ほどの増と、台風15号、19号による農業被害2億7,962万円、住宅被害支援5千万円(一部損壊住宅が200件以上あった。罹災証明により支援で上限50万円の支援となっている)、松崎台公園ののり面崩落のほか土木関係の復旧費3千万円など。しかし、歳入としては、固定資産税(償却資産)が約3億円、県からの被災農業者支援が約2億円、給料表の改定、期末・勤勉手当の引上げによる影響額が任用替えの影響で18,641万円の減となっており、差額は財政調整基金に実質的に組み入れられた。
議案8号 国民健康保険特別会計補正予算(第1号)
1億5,693万円の増額補正。高額療養費の対象人数は減っているものの給付費が増えており(つまり、1件あたりの療養費がさらに高額になっている)、1億5,316万円の増で、同額の県補助金がある。また、前年度の繰越金1,275万円が精算され、財政調整基金に積み立てられた。
議案9号 下水道事業特別会計補正予算(第2号)
給料表の改定や手当の引上げ分の人件費に財政調整基金から222万円繰り入れて充てる。
議案10号 介護保険特別会計補正予算(第3号)
現在、市役所本庁舎一階に入っている北部地域包括支援センターが、バイパス道路沿いの空き店舗(旧コスモス歯科)に移転するため、その費用を基金から繰り入れ充てる。同施設には、社会福祉協議会の事務所にある「ワークライフサポートセンター(生活困窮者自立支援事業)」も同居する予定。
議案11~18号 指定管理者の指定(青年館)
合併前の旧印西市は、当時の文部省の補助金を活用して「青年館」を各地区の集会施設として整備してきた。古い時代には20施設以上あったが、少しずつ町内会などに譲渡をして、現在は、多々羅田、宗甫、結縁寺、小林新田、宮内、柏木、寺台、高花の8施設が残っており、地元の町内会を5年間の管理者として指定するもの。築四十年以上の物件もあり耐震化工事もされていないし、公共施設しはいっても、地元住民しか利用していないので、政策的にも早期に整理をしていく必要性がある。
議案19~31号 指定管理者の指定(構造改善センター)
合併前の旧印旛村は、農水省の補助金を活用して、「構造改善センター」を各地区の集会施設として整備してきた。上記青年館と同内容の議案で、それぞれの地元区を5年間管理者として指定する。青年館よりは新しく昭和62年から平成3年までに整備され、現在は整備当時のまま13施設残っている。新しいとは言っても築三十年であり、青年館と同様に早期に政策的な整理していく必要があるが、平賀地区構造改善センターは合併時に出張所も開設してリニューアルしており、単に集会所として一つの方針で対応しきれるのか疑問。複数課の調整協議が必要となる。
議案32~34号 指定管理者の指定(集会所)
旧印旛村の新興住宅地にディベロッパーが整備し、旧村に移管された集会所3施設の管理者を5年間指定するもの。3つのうち平賀学園台と吉高台はそれぞれの自治会を管理者としているが、若萩三丁目集会所は複数の自治会連合が管理委員会を組織しており、一自治会の集会所を越えた地域のコミュニティセンターとしての役割をもっていると考えられる。コミュニティ政策の基本方針をもたない印西市の現状では整理が難しいのではないかと思う。
議案35号 指定管理者の指定(市民活動支援センター)
中央駅前地域交流館2号館にある市民活動支援センターの指定管理者を、公募を行わない再指定の手続きで5年間、現在の管理者を指定するもの。指定管理者は東京ドームファシリティーズで、市民活動情報の発信、コーディネート力が評価された。指定管理料も実績、実態に即して人件費分が増額され、5年間で7,373万円に。
議案36号 指定管理者の指定(福祉作業所)
総合福祉センターにある福祉作業所コスモスの管理者を、公募を行わず社会福祉協議会に3年間指定するもの。福祉作業所は、設立以来、社会福祉協議会に運営業務が委託されてきた。平成25年に総合福祉センターの一部として包括的に指定管理者の公募が行われ、社会福祉法人六親会が選定されたが、議会の承認が得られず頓挫した経緯がある。その際には、保護者団体から社会福祉協議会から運営者を変えてほしくないという要望も出されたため、総合福祉センターの管理とは切り離し、前回指定から社会福祉協議会が指定されている。委託料は3年間で1億3,151万円。
議案37号 指定管理者の指定(クリオネクラブ)
障がい児の学童クラブとして自立支援法で児童デイサービスが制定される以前に設立され、平成17年度以降これまでに5回更新されているが、公募を行ったことはない。指定管理者は特定非営利活動法人マーブル福祉会。現在は放課後等デイサービスの民間施設がたくさんできてきており、政策的に一定の役割を終えたとして、「公共施設等総合管理計画実施方針」では廃止の方向が示されている。今回が最後の指定となるのか、今後の調整、整理が必要となる。委託料は3年間で約6千万円。
議案38号 公共下水道の徴収事務委託の規約協議
千葉県が上下水道料金の徴収事務一元化を順次実施している。印西市は、上水道が市営水道と県営水道と2系統あり、下水道は市が全域で行っている。今回の規約協議で、県営水道の千葉ニュータウン区域の下水道事務を県に委託し、令和3年1月から徴収事務を一元化するということになる。これまでは、上水道の使用量データを県から賃借し、水道使用量の二分の一を下水道使用量として料金の徴収を委託してきた。平成30年度決算でデータ賃借料は約200万円なので、割り算で1件あたり14円、徴収事務委託料は全域で8,200万円なので1件あたり436円となっており、1回の徴収事務に1件あたり約450円の経費がかかっていたことになる。今後、県への委託料がどの程度なのか明らかにはされなかったが、約2千万円の経費節減になると見込んでいるという。利用者側としては、上水道と下水道が隔月でずらして徴収されてきたものが、一元化により2か月に1回あわせて徴収されることになり、支払いへの負担感が出てくるかもしれないが、上水道を一緒に徴収されることで、下水道の徴収率も向上すると見込んでいるとのことだった。
議案39号 指定管理者の指定(総合福祉センター)
総合福祉センターの管理者を3年間、社会福祉協議会に指定するもの。現在は社会福祉協議会と社会福祉法人六親会の共同体が指定管理者となっているが、今回の公募には社会福祉協議会単独で1者のみ申請され、選定された。委託料は3年間で2億7,147万円。レジオネラ菌の流出のために2度目の閉鎖となっているいこいの湯の再設計委託、改修工事料はこの中には含まれていない。
議案40号 指定管理者の指定(小倉台第1~第3、木刈学童クラブ)
小倉台第三学童クラブの開所にあわせて、小倉台小の3つの学童と木刈小の学童の管理運営者を3年間指定するもの。指定管理者は、シダックス大新東ヒューマンサービス。シダックスと言えばカラオケしか思い浮かばなかったが、他市では、学校給食調理、図書館運営、保育業務の実績が多数あるという。
問題となるのは指導員の賃金面などの待遇が不利にならないかという点。仕様書では、「前年度(令和元年度)の配置職員の雇用に努め、賃金等も継続性に配慮すること」と記載されており、継続性とは「下がらないこと」だと答弁された。しかし、学童保育指導員の多くが「任期付職員」で、令和2年度から、期末手当に加えて勤勉手当と地域手当が支給される改正が前議会でされている上、議案43号の給料表の改定により、基本月給もアップすることになっている。市の任用のままであれば向上した待遇が、指定管理者になっても反映されるのか? 明確な答弁なく、慎重に見ていく必要がある。指定管理料は4学童クラブ3年間で1億7,946万円。
議案41号 市議会議員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正
市議会議員の期末手当を一般職員と同じ月数に改めるもの。4.45カ月を4.5月とするもの。
議案42号 常勤特別職の給与及び旅費に関する条例の一部改正
常勤の特別職(市長、副市長、教育長)の期末手当の月数を一般職員と同様に引き上げるもの。月数は41号議案と同じ。。
議案43号 給与条例の一部改正
人事院及び県人事委員会の勧告に従い、すべての給料表と住居手当を引上げ、勤勉手当の支給月数を夏と冬で均等にするもの。
報告1号 台風被害の物損事故の和解金
台風15号の強風で防火水槽の屋根が飛び、民間所有の電気配線を切断したもの。防火水槽の老朽化対策が間に合わず、管理が不十分だったため復旧費の全額を市が負担する。
報告2号 台風被害の物損事故の和解金
台風15号の強風により船穂小学校の樹木が隣家に落下し車両のフロントガラス損傷したもの。樹木が越境していたため、補修費の全額及び代車代などを市が負担するもの。
諮問1号 人権擁護委員候補者の推薦
人権擁護委員の再任者1名の推薦。