市長選挙のとき、挑戦者の候補は「通学定期の割引率を50%に拡大」という公約を掲げていた。
あらら~ 割引率の意味をわかってないな~ いいかげんなこと言って~ と思っていたけれど、なんと議場でも堂々と間違いが横行していた。
今日はとくにひどかったので、発言者に訂正を進言したけれど、「引用しただけだから間違ってない!」とのこと。それなら、「間違っているのは分かっているけど、候補者が言っていたから」とちゃんと前置きしたほうがいいと思うよ。
何がおかしいかと言うと、割引率とは「切符で払うべき運賃から何割引いているか」という率のことを言うからだ。つまり、割引率50%は「一ヶ月切符で通ったと想定される運賃の半分にします」という公約になる。「割引率25%」というと、仮に10,000円だとしたら7,500ということになる。
いま、北総線の通学定期は、ご承知の通り、鉄道会社がそもそも設定している通学定期の額から25%引き下げられている。その減収分の半分は、一昨年度まで沿線6市と県からの補助金があてられていた。現在はその補助金がなくなり、鉄道施設の耐震化工事のための補助金と、県の53億円の融資の返済繰り延べによって生まれるキャッシュが財源になっている(その二つをやってくれたので通学定期の引き下げを継続する、と北総鉄道は言っている)。
この補助金事業(上記理由であえてそう言う)の内容は、通学定期の「額」を25%OFFする、というもので、「割引率」を変えるというものではない。くだんの公約はそこを完全に取り違えている。
北総鉄道がそもそも設定していた通学定期の割引率は6割だ。つまり、10,000円なら4,000だった。そこから25%OFFなので、1,000円引かれ、利用者が支払う定期代は3,000ということになる。割引率で言えば70%である。
「割引率50%に拡大」の公約を掲げた候補者は、北総鉄道に特別のコネと秘策があり、実現できるとしていたそうだが(議会での発言者はその秘策を聞きに行って参考にしたらどうかと市長に言っていた)、拡大どころか縮小であることを認識していたのか? もしも特別なコネクションに「それなら実現できる」と太鼓判を押されて掲げたのだとしたら、完全にカラカワレタのでしょう。とんだ茶番である。
議員の発言者のみならず、執行部まで「割引率25%」と答弁している。鉄道関係者は陰で笑っていたことだろう。値下げ交渉の道は遠い。(2016/9/9)